不動産所得や事業所得がある人は、確定申告において青色申告が選択できます。給与を得ているビジネスパーソンでも不動産所得があれば同様です。青色申告には多くの特典があります。利用できる人にはぜひおすすめしたい申告方法です。
青色申告の特典は?
青色申告の特典は多数あり、中でも3つが有名です。青色申告特別控除、青色事業専従者給与、純損失の繰越しと繰戻しがそれにあたります。内容や適用条件を見てみましょう。
青色申告特別控除
条件により、10万円・55万円・65万円いずれかの控除が受けられます。
◆10万円
①小規模な不動産所得者
②簡易簿記で記帳している
◆55万円
一定規模以上の不動産所得者、事業所得者が対象。
なお、不動産所得者の条件における「一定以上の規模の不動産」とは、独立家屋ではおおむね5棟以上、貸間・アパートではおおむね10室以上が該当します。
正規の簿記の原則で取引を記帳し、期限内に損益計算書と貸借対照表を確定申告に添付して提出。
◆65万円
①55万円の条件に加え、確定申告書や青色申告決算書などを提出するときにe-Taxを利用している
②あるいは仕訳帳・総勘定元帳の備付けと保存を電子帳簿保存法でおこなっている
現在会計ソフトを導入しておらず一定以上の不動産を所有している場合は、まずは会計ソフトを導入して経理処理を行うことを検討してみましょう。さらに、e-Taxによる電子申告、あるいは電子帳簿保存法にすると、控除金額に10万円もの差が出ます。最大限の控除を受けるのなら、e-Taxと電子帳簿保存法の活用がおすすめです。
青色事業専従者給与の特典
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。
不動産収入を得るうえでの専従者の仕事を挙げるとするならば、配偶者に管理物件の掃除や契約書類の管理などの仕事を担当してもらうなどがあります。
純損失の繰越しと繰戻しの特典
所得が赤字になった場合に利用できる特典です。対象は不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得になります。
①純損失の繰越し
赤字分の金額を翌年から3年の間、各年の黒字金額に繰越しできます。
②純損失の繰戻し
過去に申告した年度の黒字にさかのぼり、赤字の相殺が可能になる特典です。過去の納税額と相殺後の利益で計算した税額の差額が還付されます。
青色申告をするために必要なこと
◆「青色申告承認申請書」の提出
原則として新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
また、新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)は、業務を開始した日から2か月以内に提出が必要です。
◆帳簿及び書類の保存義務
青色申告の記帳は、正規の簿記によることが原則ですが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいことになっています。
これらの帳簿および書類などは、原則として7年間保存する義務があります。ただし、書類によっては5年間でよいものもあります。
※5年間の保存でよい書類には、例えば、請求書、見積書、納品書、送り状などがあります。
表.帳簿書類の保存期間
保存が必要なもの | 保存期間 | ||
帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 | |
書類 | 決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金取引等関係書類 | 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年(※) | |
その他の書類 | 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) | 5年 |
※前々年分所得が300万円以下の方は5年保存
ご紹介したように青色申告は、白色申告よりも多くのメリットがあります。
e-Taxや電子帳簿保存法を活用し、お得な節税を目指してみてはいかがでしょうか。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
国税庁HP【青色申告制度】