本質的な働き方改革には「シェア」の意識が大きな結果に

「働き方改革」が叫ばれていますが、あなたの会社では目に見える結果が出ていますでしょうか?

長時間労働是正にばかり気を取られ、戦略なき戦術で小手先の対応をしていたりしませんか?

実は「シェア」の意識があるだけで、プラスのスパイラルに持っていくことが可能です。

先日、マサチューセッツ工科大学(通称MIT)のメディアラボの特集を行っていました。その中で、仕事の効率アップにつながるような興味深い話をしていたので、紹介させていただきます。

MITのユニークな取り組み

MITと言えば、何度も世界大学ランキング1位に輝き、ノーベル賞受賞者をこれまでに多数輩出するなど、素晴らしい功績を残している大学です。その中でも最先端の研究を行うメディアラボではたくさんの学生が生活をしています。

そのメディアラボ学生寮は、他の大学の学生寮とは違う特色が数多くあるようです。

その特色の1つが「生ゴミがほとんど出ない」という点です。

例えばラボ内で学生がピザを購入し、何枚か余らせてしまった場合、その余ったピザをラボ内に常駐してあるカメラの下に置くと、その映像がほかの学生に送信され、それを見た学生の中でピザを食べたい学生が食べにきます。これにより食べ物は無駄なく消化され、生ゴミとして廃棄される食べ物はほとんど出ないという結果につながるということです。

また、その他にもメディアラボの特色として挙げられていたのが、ラボ内に「そこら中に落書きだらけの壁がある」という点です。学生はその壁に思いついたことを書き込み、それを見た他の学生がその書き込みに対して自分の意見を書いていくことで、誰かひとりのアイデアを皆で発展させているとのことでした。偏差値日本一と呼ばれる灘高校でも同様の壁というか黒板があるようです。

上記2点のことから、MITでは「シェアする」という考え方をとても大切にしていると感じました。

また、「シェアする」という行動は、上記のように「無駄をなくす」あるいは、「アイデアを発展させる」という点で、非常に有効な方法だと思います。

それでは、この「シェアする」という考え方を、私たちの日常の仕事に置き換えてみましょう。

MITの特色として挙げた、「無駄をなくす」「アイデアを発展させる」ことは、多くの企業にとって大きな課題となっている部分ではないでしょうか。

特に「無駄をなくす」という点については、近年、日本の経済全体の課題として多くのメディアで取り挙げられている「働き方改革」や「労働生産性の向上」の実現に繋がると思います。

日本の労働生産性の低さ

近年、ニュースなどで、日本は労働生産性が低いというニュースを目にする機会が多くなりました。

労働生産性とは、一般的には就業者一人当たりが働いて生み出す付加価値の割合であり、国の経済活動の効率性を示すデータの一つです。

「公益財団法人日本生産性本部 労働生産性の国際比較2017年版」によると、

労働生産性を、付加価値(国レベルではGDPに相当)をベースとする一般的な以下の方式で計算し、国際比較を行った場合、OECD加盟諸国の「就業者1人当たり労働生産性」、「時間当たり労働生産性」は以下のようになります。

労働生産性=GDP/(就業者数(または就業者数×労働時間))

 

           

引用:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2017年版」より

皆さんは、上記の図をみてどのように感じたでしょうか?

私自身は、日本の労働生産性は低いと言われているものの、アメリカ等の一部の国との比較であり、世界的に見れば上位に位置しているのだろうと思っていたので、少し驚きました。

また、日本はG7(米、英、独、仏、日本、加、伊)の中では最下位に位置しています。

日本は経済的に豊かな国でありながら、労働生産性が低いのは何が原因なのでしょう。

あくまで個人的な意見ですが、日本の会社は欧米諸国と比較し、上述したMITの取り組みのような「シェアする」ことが苦手というのが、原因の一つにあるのではないかと思っています。

例えば、皆さんの会社において、このよう経験はないでしょうか?

  • 一部の業務内容(経理処理、営業事務等)が特定の人しか把握できていないため、その人が休んだ場合に、業務の流れがストップしてしまい、仕事が回らない。
  • メンバーのタスクが均一化されず、特定の人に業務が集中している。
  • 1人で長時間悩んでも分からないことが、先輩や上司に相談したらすぐに解決した。
  • 長時間かけて作成した資料が、実は過去に別な人が作成した資料を応用すればすぐに作成できた。
  • 指示や意図・目的があいまいなため、過剰な品質を求め時間をロスしてしまう、あるいは、著しく質が低く、追加の作業が生じかえって手間がかかってしまう。

例を挙げればきりがないですが、これらは全て、納期やタスクの優先順位、完成度等を社内で「シェアする」ことで、大きく改善できると思います。

その点、海外では、「シェアする」ということが徹底されている印象があります。

その理由としては、日本と比較しオープンな国民性などいくつか理由が挙げられると思いますが、多くのビジネスマンが長期休暇を取得することが大きな要因として考えられます。

海外では、ビジネスマンでも長期休暇を取得する人が多く、国や企業によっては一カ月以上も休暇を取得する人もいるそうです。

会社にとっては、その間も仕事が回るように、その社員の代わりを会社全体で補わなければなりません。

そのためには、社内であるいはチーム単位で各々の業務進捗状況はもちろん、作成した資料等も「シェア」せざるを得ません。

結果的に「シェアする」ことが徹底され、社員が長期休暇を取得しても仕事が回るような業務の効率化が実現できているのではないでしょうか?

海外での働き方を日本と比較する際、歴史も文化も法律も違うため、一概に全て良いとは言えませんが、「シェアする」意識の高さについては、参考になることがあるのではないでしょうか?

何でも「シェア」してみよう

「シェア」という英語は、日本語で「共有する」「分担する」といった意味があります。

そして、これらの行動は、私たちの日常生活においても、よくみられます。

「LINE等のSNSで飲み会やイベントの日時・内容を共有」「妻や子供と、掃除や家事の分担」、これらも全て「シェア」の一つです

LINE等で参加者全員とイベントの内容や日程を「共有する」ことにより、一人一人に確認する手間が減り、参加者から質問があった場合も、参加者全員でその場で共有することができます。また、家事や掃除を「分担する」ことにより、一人で行うよりも早く終えることができ、さらに家事や掃除を子供と達と一緒に楽しみながらできるかもしれません。

このように、私たちは日常生活においても「シェアする」ことにより、無駄を省いています。

また、近年では「シェアリングエコノミー(物・サービス・知識・スキルなどを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組み。)」が大きく発達しています。車(カーシェア、ライドシェア)や家(シェアハウス、民泊)、倉庫などの資産や物のシェアはもちろん、Excelやプログラミングのスキルの習得、家事の代行等、個人が持つ知識スキル時間など、個人間でも「シェア」できるようになっています。

上述したように、現在は物・知識・時間など、非常に多くを「シェアする」ことができます。普段の日常生活でも自然と行っている「シェアする」ことを仕事に対してより意識をし、可能な限り業務等を共有・分担してしまうことで、労働生産性を大きく向上させることができるのではないでしょうか?

当社における「シェア」のご紹介

当社でも現在、業務効率化のために「シェアする」ことを意識して、様々な取り組みを行っています。

以下にその一例を紹介させていただきます。

Googleカレンダーを使い、各社員の行動スケジュールの共有

⇒いつ誰がどこにいて、何の業務を行っているのか把握できることにより、上司への報告・資料の提出等がスムーズになりました。

スプレッドシートシートを作成・運用し、各社員の業務の進捗状況を管理

⇒各々社員が従事している、あるいは、これから従事するタスクの納期や進捗状況が把握でき、納期が迫っているタスクや、複数でやったほうが効率の良いもの、以前の業務のノウハウや資料が活かせるものをそこで確認・判断・意思決定できるようになったため、業務の進捗がスムーズになり、効率化につながった。

月に一回勉強会を開き、実務上の疑問・不明点や提案業務の作成資料を共有

⇒実務上で感じた不明点や疑問点を社内全体で共有・解決できる場になった。また、作成した提案資料をそこで共有することにより、改善点等をそこで議論でき、次回の提案に活かすこができた。

冒頭のMITのメディアラボの話に戻りますが、仮にメディアラボでシェアした「ピザ」「時間」に置き換えた場合、社員一名が空いた時間を全体でシェアすることができれば、全体で無駄な時間が無くなるということであり、効率化に大きく貢献するのではないでしょうか?

今後は、「時間・知識・アイデアはシェアする」という意識をもって行動することにより、

会社全体の効率化、ひいては、それに伴い業績の向上が促されるのではないでしょうか

そして、今度は、業務の効率化によって浮いた自分の時間を、仕事だけでなく、家族や友人とぜひ「シェア」していきましょう。

働き方改革の第一歩は「シェア」の意識から。

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