「こんにちは。相続税の申告が必要かどうかを判断するには『財産の把握』が重要だと先生に教えていただきました。『財産把握』について詳しく教えていただきたいです。」
「こんにちは。ご質問頂きまして、ありがとうございます。相続に関しては届出の期限が定められていることが多く、早速取りかからなければならないことが多くあります。まず最初にするべきことの一つが『財産の把握』なのです。」
「『財産の調査』は、お亡くなりになった親族(被相続人)のプラスの財産とマイナスの財産を有無を調べその財産を適正に評価することを言います。」
「ありがとうございます。どのような点を確認すればよいでしょうか?」
財産調査の重要性
【1】 相続方法の選択基準となる。
相続人は、
① すべての財産を相続するのか・・・単純承認
② すべての財産を放棄するのか・・・相続放棄
③ プラスの財産の範囲内でマイナス財産も相続するのか(限定承認)
上記のいずれかを選択することとなります。正確な財産調査を行わないと、正しい選択をすることは困難です。
【2】 円満な遺産分割協議の礎である。
遺言書がなく相続人が複数人いる場合、一般的には相続人全員による遺産分割協議を行います。全ての財産を把握したうえで遺産分割協議に臨みます。分割協議後に新たな財産が判明したり、あるはずの財産が消失していたりするとトラブルが生じるかもしれません。
【3】 正しい相続税の申告の基礎である。
相続税の申告にあたり、申告書に記載しなかった財産が発覚した場合、結果として正しい申告ができなかったことになります。申告漏れとなりペナルティを受けることがあるかもしれません。
「相続放棄や限定承認を選択する場合、原則として相続人となったことを知った日から3か月以内に改定裁判所に申し立てを行います。『財産調査』はスケジュールに余裕をもってすすめることをおすすめします。」
「なるほど!ですが、『財産調査』をどのようにすすめたらよいのか分かりません・・・。」
「かしこまりました。代表的な財産の一般的な調査方法をご紹介します。」
財産調査の方法
【1】 預貯金の確認方法
① 金融機関の特定
被相続人が利用していた金融機関を特定します。通帳、キャッシュカード、郵便物などがある場合は取引があった可能性が高くなります。通帳を発行していない口座や通帳などを紛失している場合も考えられます。取引の可能性が少しでもある場合は、金融機関に直接問い合わせをすべきです。
② 残高証明書の発行依頼
金融機関の特定後、残高証明書の発行依頼をします。あわせて、通帳の記帳も行います。気になる支払記録があった場合は、内容を確認しましょう。
【2】 有価証券等の確認方法
株式などの有価証券は相続財産となります。仮想通貨や保険積立金、ゴルフ会員権も相続対象です。現在は株券は原則フ発行となっております。証券会社から届く郵送物など定期的に届く郵送物をチェックするようにしましょう。ネット証券などで取引しており電子交付で書類を受け取っている場合も考えられます。パソコンやスマホの履歴確認も重要となります。
【3】 不動産の確認方法
① 固定資産税課税証明書を確認する
不動産を所有していると固定資産税の納付書とともに固定資産税課税明細書が届きます。被相続人あてに届いた書類を確認しましょう。
② 固定資産評価証明書を取得する
被相続人名義の固定資産税評価証明書を取得すると非課税のものも含めた保有物件を確認することができます。不動産の所在する市区町村役場窓口で取得できます。
【4】 その他の財産(貴金属など)の確認方法
美術品や貴金属、自動車など換金価値のあると考えられるものは取扱業者に鑑定評価を依頼します。
【5】 負債についての確認方法
① 信用情報機関に開示請求を行う
信用情報機関に開示請求を行います。郵送での手続きが可能です。各団体のウェブサイトから確認をしてみてください。
② 個人間の貸し借りを調査する
個人間の金銭消費貸借契約がある場合も考えられます。被相続人の遺した書類の中に契約書類などがのこされていないか、ひとつひとつ調べることになります。
「なるほど。思っていたよりも色々と確認する必要があるのですね。全体を整理して進めていくのは大変そうですね。」
「そうですね、調査する項目が多岐に渡りますし効率よく進める必要がありますね。調査は時間をかければ相続人ご自身でできます。また、弁護士や司法書士、税理士などの専門家に依頼することもできます。相続のケースにより適当な依頼先は変わりますが、各士業は一般的に提携先がありますから、先ずはお気軽にご相談されることをお薦めします。」
相続に関する『財産調査』に関しては、お住いの近隣の税理士に是非ご相談ください。
*上記は例示を基に一般的に想定し得る範囲の作成記事であり、本記事の内容を信頼して行われた、または控えられた行動の結果生じた損失について、いかなる相手に対しても、一切の責任を負いかねます。