会社の経費の中で大きな支出項目である人件費。
従業員へ支給する給与の額はどのように決めていますか?同業他社や同一地域の相場を参考にしたり、過去の実績を考慮したり、様々な方法でお給料を決められているかと思います。
しかし人件費にお金をかけすぎているのではないか、または少なすぎるのではないかなど悩むことありませんか?
今回はかけるべき人件費の額のひとつの指標となる労働分配率をご紹介します。
労働分配率とは?
労働分配率とは、会社が生み出した付加価値(=利益)がどのくらい人件費として従業員へ分配されたのかを知るための指標です。
人件費とは
給与、賞与や退職金のほか、社会保険料の会社負担分、福利厚生費、通勤手当などの間接的な費用も含めます。
付加価値額とは
付加価値とは会社が生みだす価値のことをいいます。会社が存在するのは顧客になんらかの価値を提供するためです。仕入れた商品や原材料に付加した価値つまり売価と仕入価額との差額が付加価値額になります。この付加価値額の算出方法にはいくつかありますが、売上から売上原価を差引いた売上総利益だとイメージすると分かりやすいです。
100円で仕入れたモノを200円で販売した場合には100円の価値を付加したことになります。
労働分配率の計算方法
計算式
労働分配率(%)=人件費÷付加価値額×100
人件費の合計が600万円、利益が1,000万円の場合には労働分配率は60%となります。
経済産業省が毎年公表している業種別労働分配率の平均は、製造業50.8%、卸売業49.5%、小売業50%となっています。
労働分配率は業種や規模によってばらつきがあるものの、50%程度に抑えておくことが会社の経営上よいとされます。
自社の労働分配率を計算してみましょう
労働分配率はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、計算方法はシンプルです。決算書の損益計算書から売上総利益と人件費を抜き出せば、自社の労働分配率を把握することができます。
まずは、自社の労働分配率が高いのか低いのか知ることが大切です。
同業種と比べ労働分配率が高い場合には、人件費に見合う付加価値額が生み出せていないことが考えられます。人件費に資金繰りが圧迫され経営難に陥る前に、対策を講ずる必要があります。
労働分配率が低い場合には、経営的に安定していることが考えられますが、人件費削減により従業員のモチベーション低下につながっていないのかなどチェックしておくことも大切です。
最後に
会社が出した付加価値に対して人件費をどのくらいかけているか知る数値である労働分配率について確認しました。
人件費とは給与や賞与の額だけでなく、社会保険料等の間接費用も含まれるため従業員の新規採用や昇給があった場合には大きく増加します。
経営の安定を確保するために、利益が労働力へ適切に分配されているのか、例えば毎期決算の後などに確認してみてはいかがでしょうか。