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【新型コロナ】消費税免税事業者でも還付を受けられる?!

投稿日:2020年5月25日 更新日:


“あえて免税事業者をやめて課税事業者となり、消費税の還付を受けませんか?”

令和2年4月20日、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置が閣議決定されました。
その税制上の措置のうち今回は、「消費税の課税事業者選択届出等の提出に係る特例」について触れていきたいと思います。

現在、消費税の免税事業者である法人または個人事業主の方で、新型コロナの影響により売上が減少している場合には、支払った消費税が還付される可能性がありますのでご確認ください。

消費税の課税事業者選択届出等の提出に係る特例って?

まずはこの特例がどのような内容なのか確認してみましょう。

基準期間※の課税売上高が1,000万円以下の法人や個人事業主は、消費税の免税事業者に該当し、消費税の申告・納付は免除されています。

※基準期間=法人の場合 前々期
個人事業主の場合 前々年

消費税とは、預かった消費税(売上に係るもの)から支払った消費税(仕入等に係るもの)を引いて、国に申告し納付します。
支払った消費税のほうが預かった消費税より多い場合には、申告をして還付を受けることができます。

免税事業者の場合は納付もありませんが、還付が生じる場合であっても、免税事業者のままであれば還付を受けることができません。
還付を受けるためには、課税事業者になります!という届出書を提出して還付を受けるための申告をする必要があるのです。

さて、今回閣議決定されたこの消費税に係る特例ですが、なにが特例=特別かというと納税者にとって有利な点が2点あります。

1点目:課税期間開始後に課税事業者を選択する届出ができる

消費税法は結構納税者にとって厳しく、なかなか還付を受けることを許してくれません。
あえて課税事業者になろうという届出は、本来であればその年度がスタートする前に提出しなければなりません。
例えば、個人事業主が今期(令和2年度)課税事業者になりたかったら、令和1年12月31日までに、届出をしていなければなりません。「今期は還付を受けたいから、届出しようかな」ということができないのです。しかし、今回の特例ではそれが認められることになります。

2点目:課税事業者をすぐにやめられる

通常、課税事業者になることを選択すると、課税事業者を2年間続けなければなりませんが、今回の特例では1回限りで課税事業者をやめられます。
今期は還付されるが、来期は納付になりそうという場合でも、来期以降は免税事業者に戻れるので安心ですね。※来期免税事業者の要件を満たす場合に限ります。

 

特例を受ける要件

下記の要件を満たす免税事業者は特例を受けることができます。

1.新型コロナウイルスの影響により売上が著しく減少している

令和2年2月1日から令和3年1月31日の間のうち1月以上の期間の収入が、前年と比べおおむね半分以下となっている場合をいいます。

2.消費税の申告期限までに特例を受けるための申請書と届出書を提出

次の2種類の書類に必要事項を記入して税務署に提出する必要があります。

①消費税課税事業者課税事業者選択届出に係る特例承認申請書

        ※収入が著しく減少したことが証明できる売上帳や通帳コピーを添付する必要があります

②消費税課税事業者選択届出書

 なお消費税の申告期限は次のとおりです。
法人→事業年度終了から2月以内(法人税と同じ)
個人事業主→翌年の3月末

課税事業者→免税事業者への変更もできる

ここまで免税事業者が課税事業者になる場合について記載してきましたが、この特例では課税事業者→免税事業者への変更することができます。

たとえば、
もともと今期中に多額の設備投資などをする予定だったため、消費税の還付を受けるために前期中に課税事業者となる届出を提出し、今期から課税事業者となった。
しかしコロナの影響で設備投資をできなくなってしまったため、免税事業者に戻りたい。
などという場合が考えられます。

なお、課税事業者→免税事業者になる場合の要件も上記と同様になります。

(提出書類)

①消費税課税事業者課税事業者選択届出に係る特例承認申請書

②消費税課税事業者選択不適用届出書

消費税の申告をすることについて

消費税が還付されるのであれば、ぜひとも課税事業者となり還付を受けたいところではあります。
しかし消費税10%への増税にともなう軽減税率の導入により、消費税の計算はより複雑になりました。期中の売上や仕入れについて、消費税が10%か8%なのかすべて認識しておく必要があります。
労力のいる作業です。
個人事業主の場合は、今回の特例を受けるための申請書提出期限は令和3年3月末になります。
時間にはまだ余裕がありますので、特例を受けることになる場合に備えて、令和2年1月からの取引の消費税を確認しておくなど対策をしておきましょう。

 

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